七つの子

七つの子(ななつのこ)とは、野口雨情が作詞、本居長世が作曲した歌で、 日本の童謡の中でも特に知られた楽曲のひとつです。

詩は大正10年(1921年)、児童文学雑誌『金の船』の7月号に発表されました。 雨情の故郷である茨城県北茨城市の磯原駅では発車メロディに使われています。 雨情の母校の精華小学校の校庭には童謡碑があります。建立は昭和41年1月27日。 また、兵庫県たつの市の童謡の小径には、 全国公募した「あなたの好きな童謡」の上位8曲の一つとして歌碑があります。 (下の写真は精華小学校校庭の童謡碑)

烏 なぜ啼くの
烏は山に
可愛い七つの
子があるからよ
可愛 可愛と
烏は啼くの
可愛 可愛と
啼くんだよ
山の古巣へ
行って見て御覧
丸い眼をした
いい子だよ

『七つ』という言葉が「7羽」を指すのか「7歳」を指すのかは明らかになっておらず、 たびたび論争の種となっています。 カラスは一度に7羽もの雛を育てることはなく、7年も生きたカラスはもはや「子」とは呼べません。

「7歳説」への有力な手がかりとして、野口雨情(作詞者)記念館の館長である雨情の孫娘の主張があります。 雨情の息子(つまり館長の父親)がこの歌のモデルであり、 その息子が7歳のころに作られた歌であるという事実の基づいたものです。 また、7歳という年齢は野口雨情自身が母親と別れた年齢と合致することから、そこに関連性を見出す説もあります。 なお、日本語の「七つ」という言葉はしばしば「多い」の意味で使われます。

『金の船』大正10年7月号に詩と曲が載ったとき、 岡本帰一(1888-1930)のさし絵には実際に可愛い7羽の子ガラスが描かれていました。 7羽とは多すぎますが、雨情は「ななつ」の響きが気に入ったのでしょう。

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