[ 満月 ]


今夜はきれいな満月だ。 小学校のときパパに買ってもらった天体望遠鏡を持ち出して レイアと一緒に近くの公園にでかけた。

「おにいちゃん、月には何か住んでるの?」
「月は地球がちぎれてできたんだよ。何も住んでいない」
「それじゃあ、地球にちぎれた穴があるはずでしょ」
「太平洋かな?」
「うそだー」
「1969年のApollo11号が撮った写真では月は石ころだらけ」

兄妹で話をしていると偶然だれかが通りがかった。
「あっ、丘品先生とまるみえ先生ではありませんか」
「月はどうやってできたのですか?」
「定説はない。大気がないから隕石の爆撃を受ける」
「火山みたいなものは隕石が落ちた痕なんですね?」
「うむ。うさぎが杵をついたわけではない」
珍しく冗談がかえってきた。そーか、だれも知らないんだなあ。

「まるみえ先生は月がまるみえではないんですか?」
「冗談言わないで」
「菅生くんはお元気ですか?」
「もう少したつと出てくるわよ」
「私、早く見たい。いっしょに遊んであげる」
「ははは、でも光線銃遊びはダメだよ」
丘品先生とまるみえ先生は仲良く手をつないで帰って行った。

次に近所の早紀ちゃんが鼻歌を歌いながらやってきた。
「ジョージ、月が綺麗ね」
「うん、綺麗だ」
「月を見ながら何を考えてるの?」
「満月だと円周率。それ以外だと正弦定理や余弦定理」
「まあ、あきれた。ちっともロマンチックじゃないのね」
プイと帰って行った。

「お兄ちゃん。早紀ちゃんはなぜ怒ったの?」
「知らん。あの子はよくわからない」

次に丸顔のパイ君(遠州律君)があらわれた。
「パイ君にも望遠鏡で月を見せてあげるよ」
「僕はそれどころじゃない」
「何かあったの?」
「Googleが使ったという円周率の計算式がチンプンカンプン」
「なーんだ。うちのおじいちゃん(湯会老人)にもわからない」
「三方先生をつかまえて聞いてみる」
パイ君はポケットからパイを取り出して食べながら帰って行った。

「おじいちゃん、ただいま」
「おお、おかえり。狼男になるなよ」
「なんですか、それは?」
パパがかわって答えた。
「ヨーロッパの奥深い田舎に伝わる伝説のこと」
「それって、ウルフガイ?」
「日本では平井和正の書いたシリーズがある」
「英語の平井先生と関係あるの?」
「ないだろうな」
僕たちは狼羊さん(Wolfram|Alpha)は毎日使ってるけど。
まあいいや。清く正しい少年少女の世界ではない。(笑)

「スイカ切ったわよ」
ママが持ってきてくれたので早速むしゃぶりついた。 レイアは種を飛ばす癖がまだ抜けない。

[ 表紙: 中学2年生の巻 ]

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