[ 0055: 声の開発 ]


[ 発声法の免許皆伝 ] -- 湯会老人。

老骨になっても声は進化する。

私は「とりあえずバリトン」的なノリで 2013 年に「老練合唱団」に入団しました。 平均年齢が 76 才とか言っていましたから、全員私より年上の爺さんたち。 2016 年になってやっと個人レッスン受講を許された頃から、 お師匠さま (宗孝夫先生: 上の写真) は私の本質はテノールだと見抜きました。

「老骨さん、絶対テノールだから だまされたつもりでやってごらん」

それでだまされることにしました。 (笑)


イタリアのベルカント唱法には重要な技法が 3 つあります。
まずジラーレ (girare: 高音を頭骨沿いに「曲げて」出す) から着手し、 次にキューゾ (chiuso: 声を散らばさない発声) と マスケラ (maschera (顔面): 要するに副鼻腔で響かせる)。

キューゾは英語の close と同じです。 Open に声を出すとコンサートホールの奥まで届きません。 ジラーレでは声の原音を口の中の軟口蓋の奥にまず当てるつもり。 それから後頭部で曲げて最終的には頭頂部や前額部から出すつもり。 ジラーレ (girare) はイタリア語でまさに「曲げる」という意味です。


だまされながらやっていますと、面白いことに中低音の響きもよくなってきました。 私がもし正式なテノールになったとしても、声質的にドラマティコ (野太く劇的) ではないですから、 リリコ (lyrico: 叙情的、爽やか) か、スピント (力強さを加味) を目指すべきか。 両方の特徴を活かした リリコ・スピント がしっくりくる気がします。

個人レッスンを 1 年半続けた頃に突然「声変わり」が生じました。 何と声域が 3 オクターブを超えるようになったわけです。 男声四部合唱の全パートが歌えます。 トップテナーからベースまで。


ああ、だまされてよかった。

もともと生まれつきの絶対音感はありませんが、 今では「Caro mio ben (愛しき人よ)」や 「Torna A Surriento (帰れソレントへ)」は無伴奏で歌えます。

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