[ 0064: 2 乗数の和の限界 ]
[ 千手春弥さんの出題 ]
次のように自然数の 2 乗を順に足してゆくと合計が 650 になったとします。
1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + ... + n^2 = 650
n の値がなにかあててください。
[ 湯会老人の回答 ]
2 次関数の積分よりちょっと大きめの値がでますね。
積分をやってみますと:
だいたい n^3/3 = 650
上式から n = 12.49
n は 12 と見ていいでしょう。
検算をします。
1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + 5^2 + 6^2
+ 7^2 + 8^2 + 9^2 + 10^2 + 11^2 + 12^2
= 650
逆に:
1/6 * n * (n + 1)*(2*n + 1) = 650 から
n=12 が求まります。
ちなみに 3 乗数の和は: n^2*(n+1)^2/4 ですね。
計算を我慢すれば n 乗数の和はいくらでも求められます。
[ 西尾三奈さんのコメント ]
積分でアタリをつけるのもいいです、もっとエレガントにゆきましょう。
「自然数の2乗の和」という公式があります。
湯会老人が記憶の片隅から取り出されたとおり。 (失礼)
1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 + ... + n^2
= (n * (n + 1)*(2*n + 1))/6
これに n = 12 を代入すると:
1/6 * 12 * 13 * 25 = 650
おっしゃるとおり:
1/6 * n * (n + 1)*(2*n + 1) = 650 から
n=12 が求まりますね。
この方程式は:
2*n^3 + 3*n^2 + n = 3900
(n - 12)*(2*n^2 + 27*n + 325) = 0
(ちょっと、やっかい)
実数解として n = 12、他の 2 つの解は複素数です。
高校の数学の復習をして証明してみましょう。
自然数の 1 乗、および 2 乗の数を 1 から n にわたって合計したものを
それそれ S1 および
S2 と呼ぶことにします。
S1 はパスカル先生のおかげで
S1 = n*(n+1)/2
次に便利な式を利用します。
k^3 - (k-1)^3 = 3*S2
- 3*S1 + 1
左辺を k が 1 から n にわたって合計しますと、残るのは n^3 だけ。
移項して変形/因数分解しますと:
3*S2 = n^3 + 3*n*(n+1)/2 - n
= (2*n^3 + 3*n^2 + 3*n - 2*n)/2
= n*(n + 1)*(2*n + 1)/2
したがって:
S2 = n*(n + 1)*(2*n + 1)/6
どなたか 10 次情話 (10 乗和) の計算式を作ってください。
[ 湯会老人のコメント ]
三奈さんはシャレがわかるなあ。ますます気に入った。
[ 南門疾矢君のコメント ]
10 時情話 (夜更けの電話) まではゆきませんでしたけど、
夕闇せまる 5 時情話 (5 乗の和) はできました。
見てください。
S5 = (n^2*(n+1)^2*(2*n^2+2*n-1))/12
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