Math Battle [ 0086: n次元球の体積と表面積 ]

[ 0086: n次元球の体積と表面積 ]


[ 湯会老人の出題 ]

以前、多絵さんにやっていただきました。 そのときは r (半径) を 1 とし、係数は (π も含めて全部まとめて) 有効数字 4 桁ぐらいで 計算をどんどん進めていいという条件でした。

表面積 (Surface) と体積 (Volume) の極大値がそれぞれどういう n の値で生じるかを Excel でグラフを描いて目視確認することが目的でした。

むかし私が専用のプログラムを作ってやったのは、 既約分数の形をキープする方式です。そのぶん計算量が増えます。 分子と分母の最大公約数を見つけないといけないからです。

そのときは表面積と体積を逆に並べていましたが、 いずれにせよこれから何がわかりますか?

N N次元球の体積 VN N次元球の表面積 SN VN/SN
2 (π) * r2 (2π) * r r / 2
3 (4π/3) * r3 (4π) * r2 r / 3
4 2/2) * r4 (2π2) * r3 r / 4
5 (8π2/15) * r5 (8π2/3) * r4 r / 5
6 3/6) * r6 3) * r5 r / 6
7 (16π3/105) * r7 (16π3/15) * r6 r / 7
8 4/24) * r8 4/3) * r7 r / 8
9 (32π4/945) * r9 (32π4/105) * r8 r / 9
10 5/120) * r10 5/12) * r9 r / 10
11 (64π5/10395) * r11 (64π5/945) * r10 r / 11
12 6/720) * r12 6/60) * r11 r / 12
13 (128π6/135135) * r13 (128π6/10395) * r12 r / 13
14 7/5040) * r14 7/360) * r13 r / 14
15 (256π7/2027025) * r15 (256π7/135135) * r14 r / 15
16 8/40320) * r16 8/2520) * r15 r / 16
17 (512π8/34459425) * r17 (512π8/2027025) * r16 r / 17
18 9/362880) * r18 9/20160) * r17 r / 18
19 (1024π9/654729075) * r19 (1024π9/34459425) * r18 r / 19
20 10/3628800) * r20 10/181440) * r19 r / 20


[ 浅見多絵さんさんのコメント ]

わあ、すごい。これ、Perl スクリプトでやったんですか?
VN/SN = r/N という関係が常に保たれていることですね。 私も気づきましたが。 体積と表面積のどちらかを求めれば、 他方はこの比から簡単に求められるということです。


[ 西尾三奈さんのコメント ]

積分の数式計算の過程で証明できることですが、 実際に 2 次元から 20 次元までの計算結果の一覧表を見たのは初めてです。 数学を専攻する学生として、たいへん刺激になります。 ありがとうございます。


[ 湯会老人のコメント ]

三奈さん、一般に n 次元の式を立てて n で微分してみてください。 r に関係なくどの n の値で体積や表面積が極大になるかがわかるはずです。 いずれも極大値を過ぎたあとはゼロに限りなく収束します。

それから円周率についての大嘘で有名なのは 虚構新聞の記事 ですね。

円周率の計算結果の中にクリスタルキングの「大都会」という楽曲の音声データが含まれていて、 これを一般にアクセス可能にした罪で宍戸という大学教授が著作権法違反で逮捕されたというニュースでした。

当時まともに信じた人も多くいたみたいでネット上で話題になりましたね。

そもそも楽曲をデジタルデータでどう表現するのか? MP3 フォーマットで表現した音声データを 10 進表現なり 2 進表現にしたのかな。

ふつう円周率計算は 16 進でおこない、 結果は 10 進表記で公表しますが。


[ 広世正憲君のコメント ]

1024π9 / 654729075 とか とんでもない係数が出ますね。でも確かに既約分数です。 青天中学の三方 (=算法=アルゴリズム) 先生に見せてあげようかな。 先生もビックリでしょうね。先生も Math Battle に誘うといいかも。


[ 大宙乗児君のコメント ]

面白いことに気がつきました。 それぞれの分子と分母を見くらべてください。 π を除外した分子 (1, 4, 1, 8, 1, 16, 1, 32, 1, 164,...) はかならず 2x (x はいろいろ) の形になっています。 なぜでしょう? 浮動小数点数にしてしまうとだとこういうことには気がつきません。

どなたか、説明してください。


[ 湯会老人のコメント ]

三奈さん、私は自分の好きなことばっかりやって legend (伝説の男) と呼ばれましたから、 これからは心が通じ合う人たちとだけ話をすることにします。

[ 0101: 次の記事 ]

[ 0100: ドラゴン曲線の座標出力 ]

[ 0099: 最適化の歴史 ]

[ 0098: 簡単な面積計算 ]

[ 0097: 6個のブロックの外周 ]

[ 0096: お互いの呼びかた ]

[ 0095: 新たなベンツ時刻 ]

[ 0094: 再帰的関数 ]

[ 0093: これは何のグラフ? ]

[ 0092: ランダムウオーク円周率 ]

[ 0091: x^x は増え続けるか? ]

[ 0090: 0082の補足 ]

[ 0089: ドラゴン曲線 ]

[ 0088: 絵の中に秘められた再帰性 ]

[ 0086: n次元球の体積と表面積 ]

[ 0085: ハート型2次元関数 ]

[ 0084: 3月14日は何の日? ]

[ 0083: サイクリック3元連立方程式 ]

[ 0082: 正方形の中の2点の平均距離 ]

[ 0081: 棒投げで何がわかる? ]

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