Math Battle [ 0114: 正三角形をもとにした計算 ]

[ 0114: 正三角形をもとにした計算 ]


[ 浅見多絵さんの出題 ]

図のように3本の平行棒に各頂点がひっかかるように 正三角形 (equilateral triangle) があります。 α は当然 60° ですね。

このとき、tan(θ)/tan(α) = (b+a)/(b-a) を証明してください。

 *** 問題が間違っていると思っていたら...
 *** 正解は末尾。(湯会老人)


[ 千手春弥さんの回答 ]

正三角形のいちばん下の頂点を (0, 0) とします。こうしても一般性は失われません。 正三角形の辺の長さを c とし、いずれもピタゴラスの定理を使います。

(c*cos(-120+θ))^2+b^2 = c^2
(-c*cos(-120°+θ)+(a+b)/tan(θ))^2+a^2 = c^2
(a+b)^2+((a+b)/tan(θ))^2 = c^2

計算式が煩雑すぎますね。間違っているのかな?
どなたか、ヘルプ。


[ 西尾三奈さんのコメント ]

正三角形の横幅を考えてみたらどうでしょう。 縦方向に占める長さを tan で割ると横幅が得られます。

 ■ 幅 ①: 右の辺では (a+b)/tan(θ)
 ■ 幅 ②: 左の辺では b/tan(120°-θ)
 ■ 幅 ③: 上の辺では a/tan(θ-60°)
 ■ ③ = ① + ②

tan の加法定理を使って
tan(120°-θ)
= (sqrt(3)-tan(θ))/(1+sqrt(3)*tan(θ))

tan(θ-60°)
= (tan(θ)-sqrt(3)/3)/(1+(tan(θ)*sqrt(3)/3))

③ = ① + ② は:
(a+b)/tan(θ)+
 b*((1+sqrt(3)*tan(θ))/(sqrt(3)-tan(θ))
= a*(tan(θ)-sqrt(3)/3))/(1+(tan(θ)*sqrt(3)/3))

tan(α=60°) = sqrt(3) を使ったのですが。

うーむ、狼羊さんも解けませんね。 意外な発想ができる中学生の皆さん、 解いてみてください。


[ 湯会老人のコメント ]

皆さん、式をそんなに難しくする必要はありません。 出題が間違っているのではないでしょうか。

 ① (a+b)/tan(θ)

 ② -b/tan(α+θ)

 ③ a/tan(α+θ-(180°-α))
  = a/tan(-180°+2*α+θ)
  = a/tan(-180°+120°+θ)
  = a/tan(-α+θ)

(a+b)/tan(θ) - b/tan(α+θ) = a/tan(-α+θ)

にしかならないと思います。


[ 大宙麗亜ちゃんのコメント ]

どうも問題にだまされているようなので、図に補助線を追加してみました。

x = (b + a)/tan(θ) = (b - a)/tan(?)

180° までの範囲であれば
? = α = 60° のときだけ出題の式が成り立ちますが、
つねに成り立つとは言えません。

出題が間違っています !!!


[ 湯会老人の 正解 ]

意外な発想が必要でした。 tan にこだわらず、まずsinを使います。

正三角形の辺の長さを暫定的に c とします。

b + a c*sin(θ) これはすぐわかります。
a c*sin(θ-α) = c*sin(θ-60°) ちょっとわかりにくいですね。
b - a = (b+a) - 2*a c*sin(θ) - 2*c*sin(θ-60°) cos(α) が出てきます。

(b+a)/(b-a) = c*sin(θ)/(c*sin(θ)-2*c*sin(θ-60°))
= sin(θ)/(sin(θ)-2*sin(θ-60°))

sin の加法定理によって右辺の分母は:
sin(θ) - 2*(1/2*sin(θ)-sqrt(3)/2*cos(θ))

うまいことに sin(θ) が消えて、残るのは:
sqrt(3)*cos(θ)

sqrt(3) = tan(60°) = tan(α) なので:

(b+a)/(b-a) = sin(θ)/(tan(α)*cos(θ))
= tan(θ)/tan(α)

題意のとおりできました。


[ 浅見多絵さんのコメント ]

うわっ、こんな解きかたがあったとは気がつきませんでした。
全員降参。

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