[ 0181: 0180 再考 ]
[ 湯会老人の解説 ]
一般に複数の変数がからむ最大最小問題は簡単には解けません。
0180 で正憲君は
「面積が最大になるのは OACB が放物線の軸に関して対称な長方形の場合に違いない」
と直感したのか、それとも単に楽をしようとしたのか (笑)、
ともかく悠々と萬福ラーメンが食べられたようです。
すなわち、実質的に 1 変数の 3 次関数ですから、
計算を間違えなければ必ず局所的 (= ある範囲での) 最大値
すなわち local maximum を求めることができます。
これに対して三奈さんは萬福ラーメンなど趣味に合わないとばかり、
「非対称の場合」も想定したアプローチをしました。 w と x という 2 変数の併用です。
ところが、意外なドラマが待ち受けることに...
2 変数関数をまずどちらか一方の式とみなして最大値
(もう一方の変数の式にしたもの)を求め、さらに最終的な最大値を求めます。
これで「早々 蛮蛮」でしょ?
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世の中はそう甘いものではありません。 2 つの変数が「完全に独立」ならばいいでしょう。
しかし、w と x は放物線を介して「秘められた関係」を持っています。
まず、この場合の 2 変数関数を x の 2 次式とみなして判別式を立てます。
この判別式を 0 にする w は 2。
驚いたことに w = 2 のとき a = b = c = 0、
関数は 0*x^2 + 0*x + 0 = 0 という恒等式みたいなものに化けてしまいました。
三奈さんの目が点になった様子を想像すると、つい笑いが。あはははは。
三奈さんが立ててくれた関数式を使って、
何種類かの w に対して GNUPLOT でグラフを描画してみました。
x を横軸、 OACB の面積を縦軸にとっています。
w = 2 / 3 (0.6666...) のときの放物線を
赤 にしました。
x = 2 / 3 で最大値 32 / 27 (1.185...) になります。
狼羊さんの
解析結果
でも
「Max = 32/27 at (w,x) = (2/3,2/3)」となっていますから正解と言えるでしょう。
しかし、どうやったらこういう有理数解をあまり手間をかけず求められるのでしょうね?
[ 南門疾矢君のコメント ]
面白いドラマだったんですね。僕はこう考えます。
面積 S(w,x) = a*x^2 + b*x + c
① a < 0 (w < 2) では極大値をもつ放物線。
② a = 0 (w = 2) ではX軸に重なる直線。
③ a > 0 (w > 2) では極小値をもつ放物線。
w の範囲は 0 < w < 2 ですから
① だけを考え、x = -b / (2*a) での最大値を求めます。
これは:
Smax = a*(b^2/(4*a^2)) + b*(-b/(2*a)) + c
= c - (b^2/(4*a))
これに (a, b, c) を w で表現した式を代入します。
a | w/2 - 1 |
b | w^2/2 - 2*w + 2 |
c | -w^2 + 2*w |
Smax
= (-w^2+2*w) - ((w^2/2-2*w+2)^2/(4*(w/2-1)))
= -(w^3 + 2*w^2 - 4*w - 8) / 8
3 次式になりましたので必ず解けます。
S を w で微分した dS/dw = -(3*w^2+4*w-4) / 8
= -(3w-2)*(w+2) / 8
0 < w < 2 の範囲で dS/dw = 0になるのは
w = 2 / 3。
x = -b / (2*a) で最大値をとるということですから、
このときの x は:
x = -(w^2/2-2*w+2) / (2*(w/2-1))
= 2 / 3
Smax
= -(w^3 + 2*w^2 - 4*w - 8) / 8
= 32 / 27
ちょっと計算が面倒でしたが、
完全に 代数的 に解けました。
「秘められた関係」を使ったからかな。
「そば」と「うどん」の関係 (連携して売上を最大化) ではないですよ。 (笑)
[ 西尾三奈さんのコメント ]
なるほど、こういう解きかたがあったんですね。 !!!
「そば (w)」と「うどん (x)」の秘められた関係。
疾矢君、ありがとう。
今回は完敗を潔く認めますが、次はコテンパンにしてあげます。
[ 千手春弥さんのコメント ]
これは大学入試に出題してもいいですね。
限られた時間の中で筆算で正解にたどりつける受験生はそういないでしょう。
アメリカの SAT (Scholastic Assessment Test) や
ACT (The American College Testing Program) のレベルは低いですし、
MIT も大昔に 超簡単な出題 をしました。
[ 千手春弥さんの追加コメント ]
さすがの湯会老人も少しボケられましたか。 (笑)
判別式はもともと
2 次「方程式」が実数解を持つかどうかのチェックのために考えられたものです。
2 次「関数」の最大最小がどこにあるかを見つける目的には使えません。
この点を混同すると「おかしな話」になります。
[ 湯会老人のコメント ]
千手さん、おっしゃるとおりです。
ついトンチンカンなことを書いてしまいました。
絨毯爆撃のように w の値を変えて放物線を描いてみるのは
ビジュアルに理解する目的にはよろしいが、
解きかたは 疾矢君がやってくれたのが正道でしたね。
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