[ 0183: 本田三角形は存在するか? ]
[ 浅見多絵さんの出題 ]
最近、萬福ラーメンとか放物線大相撲が真面目な数学記事の中に現れるようになりました
ので、私もサッカーを幾何学問題にとり入れてみます。
図のように正三角形 ABC に内接する三角形 PQR があり、
お互いにペアになった辺同士は順に角度 α, 2α, 3α をなしている...とします。
こんなふうに巧みなパス回しでできた三角形 PQR を
「本田三角形」と称し栄誉を讃えるとして、
そもそも本田三角形は幾何学的に存在するのでしょうか?
存在する場合は三角形としての特徴を答えてください。
なお、図解はわざと不正確に描いています。
[ 大宙麗亜ちゃんの回答 ]
多絵さんが描いてくださった図解例をパソコン画面に表示してながめても、
ホントかウソかわかりません。
BP = a とした場合の a と α の関係は私にはわかりません。
また楊令さんが興味をもってグラフを描いてくださるでしょう。
小学生にもわかる範囲で角度の関係だけをチェックします。
∠CQP = 180° - α - 60° = 120° - α
∠PQR = 180° - 2α - (120°-α) = 60° - α
∠ARQ = 180° - 2α - 60° = 120° - 2α
∠PRQ = 180° - 3α - (120°-2α) = 60° - α
∠QPR = 180° - (60°-α) - (60°-α) = 60° + 2α
三角形 PQR の内角の和
= ∠QPR + ∠PQR + ∠PRQ
= (60°+2α) + (60°-α) + (60°-α)
= 180°
バッチリ合っていますね。角度からみるかぎり矛盾はないです。
私は「本田三角形は存在する」ほうに賭けます。
なお、∠PQR = ∠PRQ になりましたので PQ = PR。
本田三角形は「二等辺三角形」ということがわかりました。
すなわち、右足でも左足でも FK や CK が蹴れる。
両足使いのプレーヤーということですね。
[ 星楊令さんのコメント ]
本田三角形というのは本田博士 (Dr. Honda) という数学者が考えた三角形では
ありません。
サッカー日本代表メンバーだった 本田圭佑
さんの異名です。
疾矢君みたいに大言壮語を吐いたり、かと思えば期待を裏切ったり。
ここぞという試合で起死回生の健在ぶりでチームを救ったときは、
それまで酷評していたファンたちが一転して
「本田さん、カッケー (かっこいい)」。
この賞賛が本田三角形というヘンテコな言葉になったわけでした。
「無回転シュート (knuckle balling)」に関する考察は
ここ。
話がそれましたが、この問題での本田三角形は存在するとすれば
0 <= α < 20° の範囲にあるに違いないと仮定して、
この範囲で α の値をさまざまに変え面倒な座標計算をしました。
計算の便宜上、B を座標原点 (0, 0) とし、三角形 ABC の 1 辺の長さは 1 です。
α = 0 (⇒ a = 0) の場合は特別で、PQR は ABC とピッタリ重なり正三角形になります。
当然二等辺三角形でもあり、全くスキがありません。
純正本田三角形 (genuine Honda triangle) と呼んでいいでしょう。
α > 0 では P (a, 0) から始まって Q の座標を計算し、
次に R の座標を計算して P に戻るということをやりますと
a に関する方程式が得られます。
それを満たす a はなんと負の値。
すなわち、本田三角形は α > 0 (⇒ a > 0) には存在しません。
(少なくとも私は見つけられませんでした。)
どなたか検証してみてください。
( ⇒ 存在します。他のメンバーによる実例 )
[ 西尾三奈さんのコメント ]
恥ずかしながら私は本田三角形というのは Honda が開発した
ルーロー型ロータリー
エンジンの変形モデルかと思っていました。
楊令さん、解説ありがとうございました。
私もいろいろ計算して「存在するかどうか」のチェックをしてみます。
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