[ 0244: 易しいようで戸惑う長さ計算 ]
[ 三方万理先生の出題 ]
今年は猛暑や天候不順などの影響もあり、しばらく出題や回答が遅れていましたが、
そろそろ本調子に戻りましょう。湯会老人もそのうち覚醒 (笑) することと思います。
まず手始めに計算が楽な問題です。図のような状態にあるとき、
赤で示す線分の長さを求めてください。
[ 井伊莞爾君の回答 ]
どこから手をつけたらいいか最初わからなかったため、
重要な点に名前をつけるとともに手がかりとなる補助線を引いてみました。
ここまでやればすぐ答はわかります。
まず BC を下に延長して円周との交点を F、
同様に CD を左に延長して円周との交点を E とします。
(何という定理か知りませんが) 次の式が成り立ちます。
EC*CD = BC*CF
対称性から:
EC = AB + CD = 8
CD = 4 (与えられているとおり)
BC = BQ + QC = 8
CF = 8*4/8 = 4 (これも 4 ですね)
円周角 ∠ABF が 90° ですから、三角形 ABF は斜辺 AF を円の直径とする直角三角形
であることがわかります。
円の半径 r = sqrt(12^2+4^2)/2
= 2*sqrt(10)
円の中心を座標原点 (0, 0) にとりますと、水平垂直それぞれの対称性から
Q の座標は (2, 2) であることが簡単に計算できます。
P の座標は次の連立方程式を解くことで得られます。
y = -2
x^2 + y^2 =(2*sqrt(10))^2
x = ±6 となりますが x = -6 をとって
PQ = 2 - (-6) = 8
とういうわけです。
[ 三方万理先生のコメント ]
正解です、少し物足りなかったですか?
なお、莞爾君が計算の途中で使った EC*CD = BC*CF という等式について補足します。
点の名前のつけかたは任意です。
図のように半径 r の円の中に点 P (a, b) があり、
水平な弦 AB と垂直な弦 CD がPを通っているものとします。
計算を簡単にするため座標原点を円の中心に置きます。
点 A と点 B の X 座標 (それぞれ x1, x2) は、
次の連立方程式から求められます。
x^2 + y^2 = r^2
y = b
x1 = -sqrt(r^2 - b^2)
x2 = sqrt(r^2 - b^2)
AP = a + sqrt(r^2 - b^2)
PB = sqrt(r^2 - b^2) - a
AP*PB = (sqrt(r^2 - b^2) + a)*(sqrt(r^2 - b^2) - a)
= (r^2 - b^2) - a^2
= r^2 - (a^2 + b^2)
= (半径の 2 乗) - (P と原点の距離の 2 乗)
CP*PD についても全く同じ結果になります。
|