[ 0290: 正方形の中の5個の円 ]
[ 西尾三奈さんの出題 ]
0289 で直角三角形の 3 辺の長さと内接円
(incircle) の半径の関係を利用しましたが、同じやりかたで解ける問題です。
図のように正方形 ABCD の中に同じ大きさの円が 5 個パックされています。
正方形 ABCD の一辺の長さを 1 とするとき、円の半径を求めてください。
なお、これは 最密充填 ではありませんが、
ついでに充填率も計算してください。
[ 大宙麗亜ちゃんの回答 ]
円の半径を r, AR = a, BR = b とします。
中央の斜めの正方形の一辺の長さは 2*r
三角形 ABR と 三角形 BCS は合同ですから:
b (= BR) = a (= BS) + 2*r (= SR)
r = (b - a)/2 --- ①
三角形 ABR の面積を考えましょう。
直角をはさむ 2 辺の長さ (a,b) を使って計算した面積は:
a*b/2
三辺の長さ (a,b,1) と内接円の半径 r を使って計算した面積は:
(a + b + 1)*r/2
これらが等しいため:
a*b = (a + b + 1)*r
① を代入しますと:
a*b = (a + b + 1)*(b - a)/2
2*a*b = (a + b + 1)*(b - a) --- ②
ここで三角形 ABR におけるピタゴラスの定理:
a^2 + b^2 = 1 を変形して
(a + b)^2 - 2*a*b = 1
2*a*b = (a + b)^2 - 1
= (a + b + 1)*(a + b - 1)
これを ② に代入して:
(a + b + 1)*(a + b - 1) = (a + b + 1)*(b - a)
(a + b + 1) > 0 ですから (a + b + 1) で両辺を割って:
a + b - 1 = b - a
b が消えて a = 1/2
再度ピタゴラスの定理の式に代入して:
b = sqrt(3)/2
三角形 ABR は (30°,60°,90°) の形であることがわかりました。
得られた a と b の値を ① に代入して:
r = (b - a)/2
= (sqrt(3) - 1) / 4
= 約 0.18301
充填率は 5*(π*r^2)/1
= 約 0.52612
3 次元結晶格子での六方最密や面心立方の充填率
(約 0.74048) より
小さいですね。
[ 西尾三奈さんのコメント ]
レイアちゃん、正解です。
① の関係によく気がつきましたね。
それから a^2 + b^2 = 1 のときの
2*a*b = (a + b + 1)*(a + b - 1) を使って
② を因数分解したこと。
幾何学だけでなく、代数もちゃんとできています。
[ 大宙乗児君のコメント ]
僕はあえて計算をややこしくする方法でやってみました。
直感的な解法とは言えますが。
図のように並んだ 3 個の円の中心を貫く線分 MN を引きます。
MN = 4*r + 2*r/b
いっぽう、図形の相似性から MN = 1 / b
以上から r = 1 / (4*b + 2)
① と合わせますと:
1/(4*b + 2) = (b - a)/2
(b - a)*(2*b + 1) = 1
a = (2*b^2 + b - 1) / (2*b + 1)
これを a^2 + b^2 = 1 に代入します。
(2*b^2 + b - 1)^2/(2*b + 1)^2 + b^2 = 1
(2*b^2 + b - 1)^2 + (2*b + 1)^2*(b^2 - 1) = 0
因数分解できました。
2*b*(b + 1)*(4*b^2 - 3) = 0
正の解は b = sqrt(3) / 2
あとは同じです。
[ 西尾三奈さんのコメント ]
乗児君、お疲れさま。
よくもまあこんな計算をやる気になりますね。
0164 のコメントでもそうだったけど、
計算が好きなのかしらね。
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