[ 0294: 円系列の中心と半径 ]
[ 三方万理先生の出題 ]
0110 に似た問題です。
図に示すとおり アルベロス
のように並んだ 3 個の半円のスキマに赤い円が無限に並んでいます。
とりあえず、大きいほうから 10 個の 中心座標 (x, y) と 半径を求めてください。
なお、半円の中心座標は大きい半円から順に (0, 0) (-1, 0) (2, 0) とします。
[ 井伊莞爾君の回答 ]
n 番目の円の中心座標を (xn, yn)
半径を rn とし、
まず 3 個の条件を満たすことを考えます。
(1) n 番目の円は半径 3 の大半円に内接する。
したがって、中心間の距離は 3 - rn
すなわち xn2 + yn2
= (3 - rn)2
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(2) n 番目の円は半径 2 の中半円に外接する。
したがって、中心間の距離は 2 + rn
すなわち (xn + 1)2 + yn2
= (2 + rn)2
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(3) n 番目の円は n - 1 番目の円に外接する。
したがって、中心間の距離は rn-1 + rn
すなわち (xn - xn-1)2
+ (yn - yn-1)2
= (rn-1 + rn)2
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これらの方程式を順番に解いてゆきます。
いっけん 2 次方程式に見えますが、2 次の項は消えますので解は
有理数ですね。
次のように狼羊さん (Wolfram|Alpha) を使いましょう。
実際には入力欄にまとめて 1 行で打ち込みます。
x^2 + y^2 = (3-r)^2;
(x+1)^2 + y^2 = (2+r)^2;
(x-a)^2 + (y-b)^2 = (r+c)^2;
x^2 + y^2 < 9; y > 0; (変な解が出ないように)
solve x, y, r
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a, b, c, はそれぞれ
xn-1, yn-1, rn-1 の意味です。
まず n = 1 の場合ですが、
小さい半円が n-1 番目の円の役割を果たすと考えることができます。
それ以降の計算には小さい半円は登場しません。
n = 1 の場合にまず a = 2; b = 0; c = 1 を指定しますと
さっそく x = 9/7, y = 12/7, r = 6/7
が得られます。
あとは同様。狼羊さんは便利ですね。
得られた x, y, r を a, b, c として次の x, y, r を順次求めてゆきます。
n | x | y | r |
1 |
9/7 | 12/7 | 6/7 |
2 |
0 | 12/5 | 3/5 |
3 |
-1 | 12/5 | 2/5 |
4 |
-18/11 | 24/11 | 3/11 |
5 |
-63/31 | 60/31 | 6/31 |
6 |
-16/7 | 12/7 | 1/7 |
7 |
-27/11 | 84/55 | 6/55 |
8 |
-18/7 | 48/35 | 3/35 |
9 |
-77/29 | 36/29 | 2/29 |
10 |
-144/53 | 60/53 | 3/53 |
結果を GNUPLOT しましたが、計算は間違ってないようですね。
[ 三方万理先生のコメント ]
皆さん、体調不良だと言ってサボっていたみたいですが、よくできました。
[ 大宙乗児君のコメント ]
円系列の全部の円の中心が同じ 円弧
の上に乗っているように見えるため、 ちょっと計算してみました。
中心と半径がだいたい (-0.5074, -0.0739) r = 2.5225 です。
図に描き加えてみました。
でも、どうしてこうなるのでしょう?
[ 西尾三奈さんのコメント ]
莞爾は 0110 を参考にしたのかな。
でも、正解です。お疲れさま。
なお rn = 6 / (n2 + 6)
になるはずです。
確認してみてください。
乗児君、面白い計算をしましたね。
やはり計算が好きなのかな。
疑問の件ですが、中心間距離 (直線距離) を連立方程式に含めながら計算してゆくため、
各円の中心は正確には同一円弧上には乗りません。
小半円の半径を限りなく小さくしてゆくと円群のサイズも小さくなり、
各円の中心を結んだ線も限りなく中半円に近づいてゆきます。
こんな説明でいいですか?
[ 大宙乗児君のコメント ]
はい、納得できました。ありがとうございます。
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