Math Battle [ 0342: 星形の中の赤円と青円群 ]

[ 0342: 星形の中の赤円と青円群 ]


[ 湯会老人の出題 ]

星楊令さんが 0341 で面白い出題 (特に追加質問) をしてくれましたので、
お礼に星形をテーマにした出題をします。

図のように半径 1 の円に内接する星形があり、中央に星形に内接する赤い円、
さらに 5 方向にそれぞれ連なってゆく青い無限個の円群があります。
隣同士の円は必ず外接しあい、各円は星形に内接するものとします。

この幾何学的構成 (geometrical construction) を理解した上で
以下の値を計算してください。

① 星形の面積 (0151 参照)
② 中央の赤い円の面積
③ 5 方向の青い円群の面積総和


[ 浅見多絵さんのコメント ]

湯会老人、これは political math ですか? (笑)
それにしても、よくもまあこんな出題図が作れましたね。
計算が面倒そうなので私はパスします。


[ 広世正憲君の回答 ]

挑戦させていただきます。

まず、下図のように星形の頂点を A,B,C,D,E,F,G,H,I,J と呼ぶことにし
座標原点 (0, 0) を星形の中心に置きます。
この中心は赤い円の中心でもあり O と呼ぶことにします。

以下、角度はラジアン単位とします。 また円周率は π でなく pi と表記します。

まず A,C,E,G,I の座標を求めておきます。
(出題図作成とちがって全部が必要なわけではないですが)

擬似的に複素平面で考えると計算が楽になるため A を i
とします。これを角度 2*pi/5 ずつ原点のまわりに回転する計算になります。

A: i
C: i*(cos(2*pi/5)+sin(2*pi/5)*i)
  ≈ -0.9511 + 0.3090 i
E: i*(cos(4*pi/5)+sin(4*pi/5)*i)
  ≈ -0.5878 - 0.8090 i
G: X 軸に関して E と対称なので
  ≈ 0.5878 - 0.8090 i
I: X 軸に関して C と対称なので
  ≈ 0.9511 + 0.3090 i

A: ( 0.0000, 1.0000)
C: (-0.9511, 0.3090)
E: (-0.5878, -0.8090)
G: ( 0.5878, -0.8090)
I: ( 0.9511, 0.3090)

凹頂点ではとりあえず B だけを求めれば充分です。
(必要であれば D,F,H,J は B の回転で求められます)

B は直線 AE と直線 CI の交点です。
AE: y = (1.8090/0.5878)*x + 1.0000
CI: y = 0.3090

上の連立方程式の解として求まる B の座標は:
(-0.2245, 0.3090)

OB (原点と B との間の距離) は:
sqrt(0.2245^2 + 0.3090^2)
≈ 0.3819

星形の面積は三角形 AOB の面積の 10 倍です。
したがって:
(1/2)*OA*OB*sin(pi/5) * 10
OA = 1, OB = 0.3819 ですから
星形の面積 ≈ 1.1224

中央の赤い円の面積
= 0.3819^2 * pi
0.4582

この段階の感じでは赤は星形の多数派ではないみたい。 (笑)

次にまず A 方向の青色円群の最初の円 (最も大きいもの)
半径を r1 とします。

OA - 0.3819 (赤の円の半径) = 0.6181
(0.6181 - r1) * sin(pi/10) = r1
r1 ≈ 0.1459

半径 r1 の青色円の面積は:
r1^2 * pi
0.0669

次に 0341 でレイアちゃんがやってくれたのと同じ方式で
青色円群の半径数列の公比を求めます。

辺の比として 2 (= 1/sin(pi/6)) ではなく 1/sin(pi/10) を使います。

r2/sin(pi/10) + r1 + r2 = r1/sin(pi/10)
(1 + 1/sin(pi/10))*r2 = (1/sin(pi/10) - 1)*r1
(1 + sin(pi/10))*r2 = (1 - sin(pi/10))*r1
r2 = ((1 - sin(pi/10))/(1 + sin(pi/10)))*r1
= (5 - 2*sqrt(5)) * r1
≈ 0.5279 * r1
半径の公比 ≈ 0.5279 

面積の公比 = 0.5279^2
0.2787

初項 0.0669, 公比 0.2787 で面積総和を求めますと:
0.0669 * (1/(1-0.2787))
0.09275

5方向の総和は:
0.09275 * 5
0.4638

なんと、青の面積総和が赤の面積より多くなりました。
白票 (棄権?) は約 17.85% です。

これでワシントンからの中継を終わります。

もし計算が間違っていたらご指摘ください。訴訟でも。(笑)


[ 西尾三奈さんのコメント ]

私が 0151 でおこなった星形面積の計算では
星形のストローク (この問題では CI 間距離にあたるもの) が 1 で
面積は約 0.31027 でした。

この問題に換算しますと:
0.31027 * (0.9511*2)^2 ≈ 1.1227

正憲君の計算では 1.1224 になっていますが、
これは小数点以下 4 桁までを有効として計算を重ねたための微小誤差ですね。

他の計算もこれでいいと思います。 Thanks.


[ 浅見多絵さんのコメント ]

湯会老人は青が勝つように問題を作ったのかな。

正憲君の「これでワシントンからの中継を終わります」には大笑い。
難問ですが楽しめる問題でしたね。


[ 三方万理先生のコメント ]

星形は黄金比 (= (1+sqrt(5))/2) で構成されていますから、
青色円半径数列の公比として (5 - 2*sqrt(5)) が出てきたのは
この性質と関係あるのかも知れませんね。

湯会老人が計算してくださった 0045 では:

sin(18°) = (-1 + sqrt(5)) / 4
cos(18°) = sqrt((5 + sqrt(5))/8)
tan(18°) = sqrt(1 - 2/sqrt(5))

という結果が出ています。
計算方法も参考にしてください。


[ 湯会老人のコメント ]

正憲君、お疲れさま。うまく解きましたね。

私が出題図を作る際におこなった計算結果と一致しています。

投票率が (0.4582+0.4638)/1.1224 ≈ 82.1% というのは、ちと多すぎましたか。

「politically correct」 な幾何学問題を作るのは難しいです。

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[ 0360: 4乗根を含む方程式 ]

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[ 0358: 青と黄色の面積比 ]

[ 0357: できるのは正何角形? ]

[ 0356: 0338 の変形 ]

[ 0355: Ubuntu 22.04 ]

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[ 0352: 三角形の未知の辺長 ]

[ 0351: xn + 1/xn の値 ]

[ 0350: 互いに外接する3個の円 ]

[ 0349: 2021年の素数日 ]

[ 0348: 3次方程式を解く ]

[ 0347: 2個の正方形の面積合計 ]

[ 0346: 4分円の中の2個の半円と円 ]

[ 0345: 2個の円を囲む台形の面積 ]

[ 0344: 4次式の中の3個の係数 ]

[ 0343: x5 + x4 + 1 = 0 の実数解 ]

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[ 0341: 正三角形の中の3個の円 ]

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