[ 0343: x5 + x4 + 1 = 0 の実数解 ]
[ 仲島克郎さんの出題 ]
意味ありげな幾何学問題が続きましたので、代数問題を出題します。
5 次方程式 x5 + x4 + 1 = 0
の実数解を求めてください。
[ 大宙乗児君の回答 ]
x の奇数次多項式は x が -∞ 〜 ∞ の範囲で
-∞ 〜 ∞ または ∞ 〜 -∞ の値をとります。
したがって必ず実数解が少なくとも 1 個あります。
僕が 0065 でおこなったように
互いにプラスマイナスで相殺しあうような項ないし式を挿入して
左辺が因数分解できるかどうかやってみます。
x5 + x4 + (x3 - 1) + 1
- (x3 - 1)
= (x5 + x4 + x3) - (x3 - 1)
= x3*(x2 + x + 1) - (x - 1)*(x2 + x + 1)
= (x3 - x + 1)*(x2 + x + 1)
(3 次式)*(2 次式) の形に因数分解できました。
x2 + x + 1 = 0 は実数解を持ちません。
(判別式が負ですから)
x3 - x + 1 = 0 は実数解を持ちます。
三方万理先生に教えていただいたカルダノの公式
(Cardano's formula) を思い出しながら解いてみます。
記法の伝統にしたがえば x = u + v とすべきですが、
文字の見分けがつきにくいですから
x = a + b とします。
(a + b)3 - (a + b) + 1 = 0
(a3 + b3 + 1) + (3*a*b - 1)*(a + b) = 0
ここで十分条件として次の連立方程式を考えます。
① a3 + b3 + 1 = 0
② 3*a*b - 1 = 0
② から b = 1/(3*a) とし ① に代入しますと:
a3 + 1/(27*a3) + 1 = 0
左辺に a3 を掛けて:
a6 + a3 + 1/27 = 0
まず a3 の 2 次方程式とみなして解きます。
a3 = (-1 ± sqrt(23/27))/2
なお a と b は式のなかで対称性を持っていますから
根号の前の正負記号を片方がプラス、他方がマイナスにしてかまいません。
上記の a3
と b3 の 3 乗根 (a と b) をとり、
足し合わせて x の実数解を求めます。
x = a + b
= ((-1 + sqrt(23/27))/2)^(1/3) + ((-1 - sqrt(23/27))/2)^(1/3)
≈ -0.3377 (実根) + (-0.9870) (実根)
≈ -1.3247
間違っていませんか?
[ 仲島克郎さんのコメント ]
乗児君、間違っていません。 (拍手)
Wolfram|Alpha で解いた結果と一致しています。
他の 2 個の解は共役複素数ですが
実数解を複素平面上で ± 120°回転したものではないことに注意してください。
x3 = 1 の解などとは違いますね。
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