[ 0002: 第4間氷期 ]
[ 第四間氷期: 安部公房 ]
南門疾矢君の解説。
「第四間氷期」 (だいよんかんぴょうき) は、安部公房 (あべこうぼう、1923-1993) が
1959 年に発表したSF長編小説。ハードカバーの装丁は奥様の阿部真知さん。
「序曲」「プログラム カード No.1」「プログラム カード No.2」「間奏曲」
「ブループリント」の 5 章から構成されています。
万能の電子頭脳「予言機械」を研究開発した博士が、
実験台としてある中年男の未来を予言しようとするが、
ハプニングに見舞われ事態が思わぬ方向に導かれ、
やがて「予言機械」による人類の苛酷な未来予測像と、自らの運命が明らかとなる物語。
受け容れがたい人類の未来が博士自身の予言機械の未来像であり、
それに適応するために、
自分自身の研究組織により現在の自分が否定されることになる...
というパラドックスと葛藤が描かれ、日常性と未来の関係、
現在にとって未来とは何かを問うています。
政治的には核の抑止力による米ソ冷戦の時代ですが、
威信をかけた宇宙開発の幕開けでもありました。
急速にテクノロジーが進歩してゆくことへの期待もあったものの、同時に不安も。
なお、「地球水没」がさしせまった脅威として全面に出てくるのは興味深い。
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