0003: 竜の卵

[ 0003: 竜の卵 ]


[ Dragon's Egg ① ]

南門疾矢君の解説。

専門の重力学者でもあるロバート・ラル・フォワード (Robert Lull Forward, 1932-2002) が 1980 年 に発表したハード SF。

表面重力が何と地球の 67,000,000,000 倍という中性子星。 とても想像できませんが、そこにチーラ (cheela) という知的生命体が住んでいます。 チーラは人類の百万倍のスピードで思考し学習するという設定。

地球から 50 光年 はなれたところにある星座 Draco の星のうちの一つが超新星に変わり、 その残骸が中性子星になります。 爆発で生じた放射線は、 ホモ・サピエンスの祖先となるホミニナの群を含む多くの地球生物の突然変異を引き起こします。

やがて進化した人類の天文学者たちが 2020 年にこの中性子星を発見し、 それを「竜の卵」と命名しました。さらに 2050 年にはいよいよ探索隊が出発します。

この星は 約 20 キロメートル 直径の中に太陽質量の約半分を含み、 外殻は 1 立方センチメートル当たり 約 7 トン。 主として中性子濃度の高い鉄でできており、 白色矮星星状物質でできた厚さ 約 1 ミリメートル の皮で覆われています。 星は冷えるにつれてわずかに収縮し、クラストに割れを生じさせ、 高さ 5〜100 ミリメートルの山を作ります。

深い亀裂から溶け出す液状物質で火山が作られますが、高さ数センチ、 直径 100 メートル程度。きわめて平たい突起のようなもの。最終的に崩壊します。

...と説明されても、イメージが湧きにくいですね。想像を絶した世界です。

地球の年代に換算して紀元前 3000 年頃になって「竜の卵」はやっと充分に冷えます。 星自体の化学反応が地球よりも約 100 万倍速いため、自己複製する分子がまもなく出現し、 星に生命体が生まれます。

さらに星が冷え続けるにつれて、植物のような生物が紀元前 1000 年頃まで現れ、 そのうち一系統はやがて最初の「動物」になります。 さらに肉食生物 (predator) が登場します。

「竜の卵」に生まれた生命体はどういう進化をたどるのでしょうか?

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