[ 0007: 火星年代記 ]
[ The Martian Chronicles ]
南門疾矢君の解説。
レイ・ブラッドベリにより書かれた SF 小説。
レイ・ダグラス・ブラッドベリ (Ray Douglas Bradbury,
1920 年 8 月 22 日 - 2012 年 6 月 5 日) は、
アメリカ合衆国の小説家 (SF 作家、幻想文学作家、怪奇小説作家)、詩人。
「火星年代記」の単行本は 1950 年に出版されました。
日本語版はその後、早川書房から出版されています。
26 の独立した短編を連ねて一つの長編とした作品。
1940 年代に「ウィアード・テイルズ」、
「スリリング・ワンダー・ストーリーズ」など数誌に発表された短編群に、
書き下ろし作品を加えて成立しました。
年代記の題名にたがわず、
個々の短編には 1999 年 1 月 から 2026 年 10 月 までの年月が付され
その順の構成になっています。火星では Singulairy がいつ起きるのでしょうか?
著者は、全体の構成を考える上で
スタインベックの「怒りの葡萄」などの影響を受けたと語っているとのこと。
第 1 話は「Rocket Summer」、第 26 話は「The Million-Year Picnic」。
僕はこの最終章の美しさにいまも惹かれ続けています。
地球人の火星への探検、それを受け入れない火星人との対立。
突然の火星人絶滅、地球からの火星への植民、地球における全面核戦争と引き揚げ、
そして火星に残った人々の人間模様といった、さまざまなエピソードが語られます。
火星という舞台と各種 SF 的小道具を駆使しながらも内容は文明批評、
特に当時のアメリカ合衆国を風刺した作品とみなすことができます。
この物語には科学性はありません。
地球人は故郷のような植民地を火星に作ろうとします。
いっけん平穏。しかし、あるとき突然、火星人が現れます。
地球人の心をコントロールして。このあたりが恐怖のピークですね。
ブラッドベリの代表作の一つといえます。
|