[ 0011: 透明人間の告白 ]
[ 0011: 透明人間の告白 ]
浅見多絵さんの解説。
透明人間は可能か? 科学的には不可能です。
なぜならば、体を完全に透明にすると目が見えなくなるからです。
目の水晶体 (目玉) は光を屈折させることができないため、網膜にピントがあわせられない。
網膜は光を素通しさせてしまう。また、そもそも体を構成する物質を全部透明化するのは不可能でしょう。
このへんは多目にみておいて、面白い小説が書かれ映画化されました。
透明人間本家の H.G. ウエルズ版 (1897) とはひと味違う「透明人間」
(原書では: Memoirs of an Invisible Man) は
設定に工夫が凝らされています。
書店でみかけた原書を読んでから 1992 年公開のアメリカ映画作品を観ました。
監督は ジョン・カーペンター。
( ほほう。透明人間が The Thing と闘うのかなと思ったら違いました。 )
ワーナー・ブラザース配給のこの映画の撮影はサンフランシスコとその周辺でおこなわれたとのこと。
坂道の多い街で逃走劇を面白くしたのかも。
これまでに制作されてきた透明人間を題材にした作品とは大きく異なる異色作と言えます。
本作では体が透明になって自暴自棄になって犯罪に手を染めるようなことはなく、
透明人間を悪事に利用しようと画策する組織に透明人間が逃げ回る逃走劇として繰り広げられます。
またこれまでのように薬の投与によって体が透明になるかわりに、
放射線を浴びたことで主人公は透明と化してしまいます。
また透明化は生物だけでなく物質にも効果をおよぼし、( !!! 都合がいいですね )
主人公が着用していたスーツも透明化したことで透明になっても服はちゃんと着用している
というのが本作の特徴です。もはや裸になって道を歩いたり隠れたりする必要はありません。
ただし気持が悪いのが何かを食べるとき。
口の中で咀嚼しているときはグチャグチャが見えています。
やがてドロドロが食道をくだって消化器官に至ると徐々に同化され透明になります。
では排泄物はどうなるのか?
そこまでは描写していません。きっとだんだん見えてくるのでしょう。 (笑)
Chevy Chase が主演というのも面白いですね。ぜひ小説を読んでからご覧になってください。
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