[ 0014: 宇宙衛生博覧会 ]
[ 0014: 宇宙衛生博覧会 ]
湯会老人の解説。
この文庫本には5つの短編が含まれており、いずれも刺激的。
「蟹甲癬」はいうまでもなく、小林多喜二の「蟹工船」のもじりですが、
背中に甲羅ができた人間達を描いて哄笑を誘います。
「急流」は「そんなばかな」という話。筒井氏直筆の漫画にもなりました。
「顔面崩壊」はドド豆という豆によって顔面が崩れるという話を老人が昔話風に聞かせて、
徐々に不気味さがこみあげてくるのですが、ひたすらキモチ悪いのです。
「問題外科」は、1980年に朝日新聞がスクープした「富士見産婦人科病院事件」にヒントを得たもの。
患者の子宮を集めて喜ぶ医者がいたという実話ですが、小説のほうはもっと無茶苦茶。
笑いと共に恐怖がつのります。
現実の事件で摘出された子宮の中にはエドムラサキの瓶にはいっていたものがあったそうですから、
笑っていいのか深くご同情申し上げるべきなのか。
「関節話法 (間接話法をもじったもの) 」は筒井氏の短編でベスト 1 に挙げる人が多いほどの爆笑作。
主人公は関節を用いて会話する星へ外交官として赴任します。
しかし、人間に関節が自由に操れるわけがない。
外交官として重要な席で彼らと関節会話せざるを得ない主人公、意に反してままならない関節よ。
抱腹絶倒の物語が展開されます。
千手さんがこの設定をもとに書き直しました。
快挙でしたね。
「最悪の接触」は宇宙人とのコンタクトものですが、相手は別に人間でも構わない。
感情・風習のすれ違いがエスカレートしてドタバタに発展するという筒井得意のパターン。
キモチ悪いと思いつつページをめくるのです。
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